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貸金業規制の強化

新法は、金利規制の強化に加えて、参入規制の強化、行為規制の強化、総量規制を導入した過剰貸付規制の強化など貸金業規制に関しても抜本的強化が図られている。

(1)ヤミ金融に対する罰則の強化
新法では、年一〇九・五%を超える超高金利貸付けや無登録営業の罰則を、これまでの五年以下の懲役または一千万円以下の罰金から、一〇年以下の懲役または三千万円以下の罰金に引き上げ、ヤミ金融に対する罰則を強化している(出資五条三項、貸金業四七条)。この罰則の強化は、二〇〇七年一月二〇日より施行されている。

(2)参入規制の強化
新法は、貸金業者の参入条件を厳格化するために、貸金業登録に必要とする最低純資産額を新法の本体施行から一年半以内に二千万円、新法の公布からおおむね三年後(二〇〇九年二一月二〇日)からは五千万円に引き上げられる(貸金業六条一項一四号・三項・四項)。現在登録をしている貸金業者数は、九八一九業者(二〇〇八年一月末現在)となっているが、最低純資産額が五千万円に引き上げられると、登録貸金業者数は二~三千業者に減少することになるだろうといわれている。また、新法は、貸金業者の登録拒否要件として、①貸金業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者、②他に営利業務が公益に反すると認められる者、を追加している(貸金業六条一項一五号、一六号)。

(3)貸金業務取扱主任者制度に関する改正
新法は、貸金業に関する法令遵守のための助言・指導を行う貸金業務取扱主任者について、資格試験制度を導入し、合格者を営業所ごとに配置することになっている(貸金業二四条の七~二四条の五〇)。新法では、営業者または事務所ごとに貸金業務取扱主任者資格試験に合格し登録を受けた貸金業務取扱主任者を設置することを貸金業者に義務づけるとともに、設置していないことを登録拒否要件としている(貸金業四条一項六号、六条一項一三号、一二条の三)。

(4)新貸金業協会の設立
新法では、貸金業協会を内閣総理大臣の認可を受けて貸金業者が設立する法人とし、都道府県ごとの支部設置を義務づけている(貸金業二六条、三四条)。貸金業協会は、①過剰貸付けの防止に関する事項、②極度方式基本契約における各回の最低の返済額または最長の返済期間に関する事項、③広告の内容・方法・頻度および審査に関する事項、④勧誘に関する事項、⑤カウンセリングに関する事項、などについて業務規程を定めることになっているが、この業務規程は内閣総理大臣の認可を受けなければならないことになっている(貸金業三二条、三三条)。そして、新貸金業法の本体施行(二〇〇七年一二月一九日)にあわせて、新しい業界団体として「日本貸金業協会」の設置が認可されている。各都道府県には、同協会の支部が置かれることになる。日本貸金業協会は、協会員が守るべき自主規制ルール「貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則」を定めている。

画期的な新貸金業法の成立

深刻化する多重債務問題に対処するため、二〇〇六(平成一八)年一二月一三日に新貸金業法(貸金業規制法、出資法、利息制限法などの改正法)が成立し、同年二一月二〇日に公布された。新貸金業法は金利規制と貸金業規制を大幅に強化しており、金利規制に関しては、利息制限法の改正が行われるとともに出資法が制定された一九五四(昭和二九)年以来の大改革となっており、貸金業規制に関しては、貸金業規制法が制定された一九八三(昭和五八)年以来の大改革となっている。

わが国の貸金業界やアメリカ政府が、出資法の上限金利の引下げに強く反対したにもかかわらず、出資法の上限金利を大幅に引き下げる画期的な新貸金業法が成立した背景には、金利引下げを求める運動の全国的な広がりと世論の盛り上がりがある。今回の金利引下げ運動は、弁護士や司法書士、被害者団体だけでなく、労働団体、消費者団体にまで運動が広がり、幅広い国民的なネットワークが結成された。このような金利引下げを求める国民的な運動の広がりが世論を動かし、わが国の貸金業界やアメリカ政府の強い抵抗にもかかわらず、最終的には政府・与党をも動かして、画期的な新貸金業法を成立させたのである。

【新貸金業法の概要】金利規制の強化 みなし弁済規定(グレーゾーン金利)を撤廃

新貸金業法(以下「新法」という)では、クレジット・サラ金(消費者金融)・商工ローンなど貸金業者の高金利が多重債務問題の大きな要因となってきたことから、金利規制が大幅に強化されている。すなわち、新法では、本体施行(二〇〇七(平成一九)年一二月一九日)から二年半以内、新法の公布からおおむね三年(二〇〇九(平成二一年一二月二〇日)を目途に、貸金業規制法四三条のみなし弁済規定(グレーゾーン金利)を廃止する、刑罰が科される出資法の上限金利を年二九・二%から年二〇%に引き下げる(出資五条二項)、出資法の上限金利と利息制限法の制限金利(年一五~二〇%)との間の金利での貸付けを禁止し違反すれば行政処分と対象とする(貸金業一二条の八)、日掛け金融(日賦貸金業者)等の特例金利を廃止する、保証料も利息と合算して規制する(出資五条の二、五条の三、利息八条、九条)、などの金利規制の強化が行われている。この結果、金利規制の施行が予定されている二〇〇九年一二月末以降は、クレジット・サラ金・商工ローン業者など貸金業者は、利息制限法の制限金利を超える金利での貸付けができなくなるわけである。

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